正露丸ってただクサイだけじゃなかったんだ！意外な薬効とは。

今の若い子らは黒い正露丸とか
知ってんのかな？あの黒くて辛くて臭いやつ。

昔から腹が痛かったらとりあえず飲む、
腹痛の万能薬的な存在で、
各家庭の救急箱には必ず入っている物でした。

そのニオイ、ほんとにすごいんですよ？
瓶のフタを閉めて、箱に入れてても臭う。
飲んだあと、ゲップしても臭う。

正露丸の何の成分が臭うのかは分かりませんが
一嗅ぎすれば忘れられない逸品です。

ただ、あの強烈な臭いがないと効かない
という人も多くて、糖衣なんて
あまり臭くない商品も出ましたが
効かないなんて話をよく聞いた気がします。

今回はその正露丸の秘密に迫ろうと思います。

まず、正露丸の由来

正露丸といえば、ラッパのマークの大幸薬品。

なんでラッパ？？

正露丸は日露戦争時は”征”露丸と呼ばれ
陸軍の支給品として配布されていました。

「征」は征伐の征。
日露戦争当時、ロシアを征伐する
征露という言葉が流行し、それを成し遂げた
結果「ロシアを倒した万能薬」として
広く普及していくこととなりました。

その旧日本軍で伝達用に吹奏されていたのが
信号ラッパで、
そのうち食事の時間を知らせるのが
通称「食事ラッパ」。

その食事の時にチフスや脚気の予防薬として
連日服用を推奨されていたため、
ラッパのマークが採用されたと思われる。

㊟：
当時はビタミンBが発見されていなかった為、脚気が栄養障害によるものと思われてなかったんです。
もちろん、正露丸に脚気の治療はできませんので注意しましょう。

第二次大戦後、征の字は国際信義上
好ましくないという行政指導があり、
現在の”正”露丸と改められました。

次に主成分、効能。

正露丸の主成分は日局木クレオソート
（にっきょくもくくれおそーと）。

日局とは日本薬局方の略で
医薬品の規格基準書のこと。

木クレオソートとは
ヨーロッパブナの木から蒸留した油で
1830年にドイツ人化学者カール・ラインバッハ
により発見されました。

それが1839年、長崎の和蘭商館長ニーマン
により日本に持ち込まれました。

そして1902年、大阪の薬商中島佐一薬房が
「忠勇征露丸」の売薬免許を取得し、
木クレオソート丸剤は忠勇征露丸
という商品名に生まれ変わったんです。

大幸薬品社製『正露丸』の場合

◎効能

軟便、下痢、食あたり、水あたり、はき下し、くだり腹、消化不良による下痢
おもに胃や腸の調子を整える
歯髄炎による虫歯の痛み

◎成分・分量（成人1日量中）

【主成分】
日局木クレオソート：400mg
日局アセンヤク末：200mg
日局オウバク末：300mg
日局カンゾウ末：150mg
陳皮末：100mg
【添加物】
ケイヒ
CMC-Ca
グリセリン

大幸薬品の場合としましたが
正露丸の商品名は商標登録されておらず
医薬品メーカー各社が色んな正露丸を出している為です。

また、木クレオソートも
工業用の石炭由来のクレオソートと
混同され論争が起きましたが
現在もその火は燻っているようです。

そして新たな使い道が！

先日、木クレソートにアニサキスに対する
効能があることが判明しました。

アニサキスは回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称。全ての種が魚介類に寄生する寄生虫であり、食中毒（アニサキス症）の原因寄生虫である。

アニサキスはまず、オキアミなどの甲殻類に寄生し第3期幼虫まで発育する。それがそのまま中間宿主となる魚やイカなどに捕食され寄生する。その後イルカやクジラなどの最終宿主に捕食され成虫となる。ヒトの体内では成虫になれない。

感染すると激しい腹痛と嘔吐をします。ただし下痢がないのが一般的な食中毒と違います。出典：ウィキペディア

正露丸の主成分である木クレオソートが
アニサキスの運動を抑制する効果があることが
わかりました。

そのため内視鏡で摘出する際の
前処置薬としての有効性が期待されています。