先日、俳優の坂口憲二さんが
特発性骨頭壊死で苦しんでいる、というニュースを聞きました。
骨頭壊死に関わらず
股関節に痛みを抱いている方は非常に多いです。
肩関節、股関節などの球関節は
関節可動域が広く、それだけに一度障害されると治りにくいです。
そして、今回坂口さんを襲った特発性骨頭壊死。
「壊死」というぐらいだから
大変な物なんだろうと誰でも想像つきますね。
まずは大腿骨頭の仕組みから見ていきましょう。
股関節の解剖
股関節は寛骨にある寛骨臼に大腿骨頭が
入り込む形で形成されます。
簡単に言うと骨盤にある窪みに
大腿骨がはまっている形ですね。
きれいに隙間なくはまりこんでいるという事は
骨頭を栄養する血管が少ない、
正確には大腿骨頭靭帯とともに走る
閉鎖動脈の枝しかなく、血行に乏しい関節と言えます。
そう、通常、骨というのは内部に血管が
走行しており、そこから栄養されてます。
それを受け毎日生まれ変わっているわけです。
そのバランスが崩れた状態が骨粗鬆症といった状態ですね。
それを踏まえて、何らかの原因で大腿骨頭の
循環障害が起こり骨頭が無腐性壊死を起こす事
そしてその原因がよくわからない状態を特発性と呼びます。
ですが、近年の研究で
女性の場合ステロイド剤の使用過多、
男性の場合アルコールの多飲
が原因ではないかと言われるようになりました。
壊死しただけでは特別痛みも伴わないので
初期は自覚症状がない場合が多いです。
壊死を起こした骨頭は非常に脆くなるため、
日常生活の中で荷重や衝撃に晒されたりすると
骨頭に陥凹が起こり痛みだす、といった形で段階が進んでいきます。
その壊死ですが、起こった部位、
範囲などにより予後に大きな影響を及ぼします。
それこそ手術が必要になったり、または
死ぬまで気づかずにいる人もいたりと、
影響の出方も様々です。
保存的な治療法は?
保存的とは非観血的=手術をしない治療です。
骨頭に圧潰が起こり、球関節が
「球じゃない」形になると痛みが強くでます。
すると松葉杖や車いすを使わないと
移動できない程悪くなります。
この治療ブログでいつか触れたと思いますが
股関節の痛みを取るのって、
本当に難しいんです。
しかもこの場合、日常生活で免荷するよう
指示をしたりそれがしやすいように
股関節周りの筋をほぐし柔軟性を高める、
程度しかできることはありません。
結論。
骨頭壊死の場合、粗暴な手技で
圧潰を起こすことも考えられるため、
慎重な対応が求められます。
骨頭壊死とわかっていれば
それなりに対応できますがそうでない場合が問題ですよね。
リスクを考え出すと何もできなくなるし
ある程度踏み込んでいかないと治るもんも治らないし。
治療家は一生そのジレンマに
悩まされるわけですね。ハア。
ともかく、坂口さんが
「世界の荒鷲」のように力強く復活できるように応援しましょう!