先日、患者さんの下腿部に1㌢大のアザが
たくさんできていました。
「う、またやっちまった」
と真っ先に押しすぎでアザができたと
思ったのですが
腓骨の下三分の一らへんに集中していまして。
しかしこんなところはさすがにそんなに
グリグリとアザができるほどは押さないな、
と思い恐る恐る聞いてみたところ
やはり押されてできたものではないそう。
しかも、痛くも痒くもないって。
安心したモミ夫は調査を開始しました。
患者さんは50代の女性。
アザは前述の通り1㌢大の大きさのものが
腓骨下部を中心に5~10個程(目算)。
赤紫色で熱感は感じず。
触った感じの一番の印象は
「硬いな」です。
圧痛も無し。
しかも皮膚の奥の方まで2~3㎜以上、
硬い部分が厚みを持って存在します。
うーん、なんだ??
そのときはそれ以上は触れずに
様子を見ましょうということで帰しました。
成り立ちのわからない腫れ物には触らない。
先輩から教わった鉄則です。
その後しばらくの間通院
(元々違う症状で通院していたため)
していましたが一向に良くなる気配はなし。
もちろん、モミ夫は触りませんでしたよ!
ちなみにその患者さん、両母指に痛みがあり、
まずは腱炎、腱鞘炎を疑ったのですが
腫れ、熱感は無し。
とくに指を酷使することもなく
フィンケルシュタインテストも陰性。
だけどずーっと治らない。
うーん、サッパリワカラナイので
一度皮膚科なり外科なり受診してみることを
勧めました。
あと、その方のお母さん、お姉さんが
リウマチ持ちなので、
もしかしたらそれが悪さしているかも、
とも思ったので一辺調べてみてもらいたかったんです。
で、調べてもらった結果
「サルコイドーシス」と言われた。
とのこと。
サル・・・?なんだっけ。
-osisは~症だったな、とか専門学校の英語で
習ったなような気がするけど
じゃあサルコイドって何よ?
と自問自答しながら出した返事が
「自己免疫疾患ですよね」
うーん、我ながら不甲斐ない。
再びその場面に出くわしても
後悔しないように
サルコイドーシスの専門家並みの知識を
身に付けるぞーっ!
ちなみにアイキャッチ画像は
我が家の愛猫「ニモ」くんで、
サルコイドーシスの画像を探していたら
恐ろしいものばかりだったので
和みの画像を貼らせていただきました。
サルコイドーシスとは
サルコイドーシス(Sarcoidosis)とは、非乾酪性の類上皮細胞肉芽種が臓器に認められる疾患。厚生労働省が認定する特定疾患の一つである。
うーん、難しい単語が次々と。
乾酪性とは見た感じチーズ(乾酪)
のように見える状態で、主に組織が壊死する事
を指すみたい。膿んでる感じ?
非乾酪性とはチーズ状ではないこと、かな。
そのまんま。
類上皮細胞とは上皮細胞によく似た
活性化マクロファージのこと。
マクロファージとは白血球の一種で
大食細胞とも言い、主に外傷や炎症の際に
活発に活動する。
上皮細胞とは体の表面を覆っている細胞の事。
この、体の表面というのがクセモノで、
一般的に触れない箇所、例えば胃の中とか
小腸の中とか。触れないけど口から肛門まで
ずーっと繋がってますよね?
よって体の中であっても「表面」なんです。
勉強になりますね~。
肉芽腫とは各種炎症細胞が集合し、
この周囲を各種リンパ球が取り囲み
巣状病変を起こしていること。
うーん、まだよくワカラナイね。
モミ夫的に簡単に申しますと
異物を排除するマクロファージがなんだか
知らないけどあちこちに集まってなんか
一生懸命闘っている状態、かな。
なんだか知らないけど、ってのが
自己免疫疾患を現す部分で、
原因は分からないけど免疫細胞が
正常な細胞を攻撃してしまう、という意味。
ストレスが原因と言われてるけど
実際のところ、まだよくわかってないみたい。
女性がやや罹りやすく、40歳以下が
好発年齢。
症状は発症した部位により様々で、
心臓の場合不整脈。
肺の場合はリンパ節が腫れ、咳が出る。
眼だとかすみ、飛蚊症、視力低下、
眼圧上昇を来す。
皮膚の場合結節性紅斑を起こす。
結節性紅斑とは皮下の脂肪細胞の炎症で
主に脛部に圧痛結節を引き起こす。
コレだね、ウチの患者さん。
予後も発症部位により多様で、
60%以上は自然によくなるけど、
30%は慢性化したり、進行していったり。
死ぬ人も5%以下ですが、います。
治療は、炎症と言えばステロイド。
ほとんどが自然に寛解することから
対症的に炎症を抑えるだけっぽい。
まとめ。
免疫細胞が目や肺、心臓、皮下に集まり
炎症を作る。
炎症ができた部位によって症状や予後が
異なり、多くは2年程で自然寛解するが、
死亡する例もある。
豆知識としてはこれくらいですかね。
パターンとして
「なんかよくわからないけどできて、
いつのまにか治っちゃった」
が幸せなパターンかな。
とりあえず、周りにそういう人がいたら
医療機関での精密検査を勧めましょう。
ただ腫れてるだけなら放っとく人も多いでしょうから。